【日々の心構え】
朝の目覚めと共に、「今日一日」で始まる以下の14律読み下しを称名する。
夜の就寝前に再び一日を省みて称名することにより自省抄は完結し日々新たに連なりゆく。

一日の始まりに、「今日一日、
1. 高い志を掲げ、信念に基づき、情熱を込めて生きるか。
2. 計画を立て、秩序正しく、目標管理を行うか。
3. 節制、節約を旨とし、効率を高めるために、何を省くか。
4. 全てに誠実に向き合い、正義を貫き、公平を図るか。
5. 自らを虚しくして、素直な心を養い高め、衆知を集めるか。
6. 何に耐えるか、寛容の心をもって、人を許し、自己抑制するか。
7. 沈黙し、質問して、相手の立場を理解するか。
8. 姿勢を正し、清潔を旨とし、心身の健康を高め、優れた表現者となるか。
9. 微笑し、感謝の念をもって、信頼して、任せるか。
10. 常識を心に、全体像を捉え、時代認識を以て行動するか。
11. 勘を働かせ、本質をとらえ、問題意識を持つか。
12. 機を捕らえ、決断し、実行するか。
13. 中庸を旨とし、謙虚な心で、克己復礼を目指すか。
14. 準備し、工夫を以て、進歩し、生成発展を実現するか。

一日の終わりに、「今日一日、
1. 高い志を掲げ、信念に基づき、情熱を込めて生きたか。
2. 計画に則り、秩序正しく、目標管理を行ったか。
3. 節制、節約をし、高い効率を実現したか。何を省いたか。
4. 何事にも誠実に向き合ったか。正義を貫き、公平を保ったか。
5. 虚心坦懐に、素直な心で、広く衆知を集めたか。
6. 何に耐えたか。寛容の心で、何を許したか、自己抑制したか。
7. 沈黙し、質問し、相手の立場を理解できたか。
8. 姿勢正しく、清潔に、心身の健康を保ち、優れて表現者であったか。
9. 微笑み、感謝をし、信頼して、任せたか。
10. 常識を踏まえ、全体像の中で、時代認識を以て事を処したか。
11. 勘を研ぎすまし、本質を捉え、問題意識をもって処したか。
12. 機を逃さず、決断し、実行したか。
13. 中庸を保ち、謙虚に、克己復礼が実現できたか。
14. 準備し、工夫し、進歩し、生成発展の一翼を成したか。

今日のことば

【解説】
自省抄14律の淵源は昭和37年(1962)に遡る。父が欧州赴任にあたり、
一人息子を日本に残していくことを決断したこと、そしてその折にいくつかの短い言葉をこれから生きて往くにあたってのよすがにと、まだ幼い我が子に残していったことに端を発する。

それらは、志、誠実、正義、無私、素直、といった何の脈絡もない単語の羅列に過ぎなかったが、いつも心の奥底に沈殿していたように思う。

その後、米国の子供なら誰でも知っているフランクリンの自伝(岩波文庫)に出会い、父はこの人と同じようなことを伝えたかったのかもしれないと。

しかし、ベンジャミン・フランクリンが、1728年頃に思いついたという「道徳的完全に到達する大胆で難儀な計画」のための13の徳目に刮目するには何年も要し、フランク・ベトガーの著作How I raised myself from failure to success in selling との邂逅を待たねばならなかった。

この本は、怪我で突如野球選手を諦めざるを得ず失意の底にあった著者が、全米一の保険のセールスマンに上り詰めた成功の自伝であり、所謂米国のハウツー本に過ぎない。この自伝でベトガーは誰もが知るフランクリンの13徳の各項目を参考に独自のものを作り、それを実践してきたという。

勿論、凡人が真似てみても全米一のセールスマンに成れようもなく、ましてフランクリンのような偉人には程遠いものの、遠い昔に父から預かった言葉のいくつかを自分なりに整理し、人生を生きてゆく上での原則としようと思うようになった、これがそもそもの始まりである。

従って、そもそもフランクリンの13徳とそれを参考にしたベトガーの13徳をベースに、古今東西の先人が残した様々な金言名句を玩味し、集大成し自らの14律が出来上がった。凡人が偉人らに少しでも近づくためには、13では恐れ多く14に徳目をひとつ増やしたことはご愛嬌と笑納されたい。

その後足掛け60年もの歳月を経て、齢を重ねるにつれ、各徳目の意味は、日々、広く、深く、重みを増してゆく。それらは、連携し、補完し、躍動する。

しかし同時に、14の原則(principles)は、普遍である。